全米レコード協会にISPが協力しない理由
昨年12月、RIAA(全米レコード協会)は違法ダウンローダーに対処する方針を変えた。それまでダウンローダー個人を対象に個別の訴訟を起こしてきたが、批判が相次ぐ上に有効な防止策とはならないこともあり、協会は個人にネット環境を与える大元のISPと協力して違反者を防止する策を取るとした。
内容としては、ISPが違反者に対して“段階的な対応”として警告をする。警告を聞き入れずに継続して違反する者に対しては、一定期間アクセスを停止するというもので、フランスや台湾などで可決されたスリーストライク法そのものだ。
それから6ヶ月。協会の計画に賛同するISPは出ていない。協会はほとんどのISPに対して、ニューヨーク州の司法長官の事務所を通して賛同するよう促し続けており、協会のスポークスマンは複数のISPが過去6ヶ月間で50万通の警告を違反者に送ったと言う。警告のみで十分な防止策となるということかも知れない。
協会の言おうとしていることは、つまるところアクセス遮断は必要ないということで、一部の音楽レーベルの発表と違うことになる。協会は悪質な違反者は警告ぐらいではダウンロードを止めないと信じている。
それならば、何故協会はわざわざ6ヶ月も前に発表したのか。協会に批判的な評論家は、これまでの個人を対象とした一般にひどく不人気な個別訴訟を水に流したいのではないかと言う。過去5年間で3万件を超える訴訟は、協会に多大な訴訟費用を残し、違法ダウンロードの防止策としても有効だったとは言い難い。
TorrentFreak.comのErnestoが言うには、一部のISPはずっと前から自発的に違反者に警告作業をしてきたのであって、協会の発表に目新しいものはひとつもないらしい。
協会はニューヨークの司法長官にISPを動かせたいのだろうが、司法長官にそれほどの政治力はないし、ISPが法律に違反しない限り何もできない。DMCA法にはISPが警告をしなければならないとは書かれていない。
連邦議会ではISP関連団体の政治力の方が協会よりも勝っている上に、一般の協会への批判は無視できない。
ISPはP2Pユーザーにブロードバンドアクセスを販売することでビジネスを拡大してきた経緯がある。見返りなしではアクセス遮断には決して同意しないだろう。

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