2009/05/30

新ニューエコノミー

1980年代、Massachusetts Institute of Technologyのトム・マローンは当時登場し始めたインターネットが産業構造に与える影響を予測した。インターネットは、既存産業を分割し外部化するとした。

トップダウン型のビジネス共同体は供給網との決済コストを最小化するために作られたが、ウェブは国際化の究極形で、もはやひとつのグループ内でビジネスが完結することはむしろ少ない。ひとつのプロジェクトは広く人材と供給元を求め、プロジェクトが完了すればバラバラになってまたそれぞれのプロジェクトに向かう。小さないくつものかけらが、柔らかく関係する、それがマローンの予測だった。

ところが実際の現場では逆のことが起こったように見える。大企業は更に規模を拡大した。ゴールドマン・サックスは年間9兆円を飲み込み、年間収益は3倍増した。製薬会社はM&Aを繰り返して巨大化し、ウォールマートやGEを含めるフォーチュンのトップ10内の企業は規模が3倍になった。

そして昨年9月に世界はリセッションに突入した。投資会社は莫大な負債を抱え、ビッグ3は倒産寸前、製薬会社はヒット商品を生み出せず、ウォールマートは店舗を縮小している。

マローンは正しかったのか。

過去9ヶ月で起こっているのは大きさの清算だ。大企業はキャッシュフローのみではやり繰りできず、負債を必要とする。また大きな投資を必要としてはいるが、流通網にコントロールを失い、多文化な世界規模の競争に晒されている。投資へのリスクは拡大している一方で利回りは悪化している。更に大きさはより厳しい規制を受け、柔軟に動けない。大企業が勝てて来れたのは、変化のスピードの緩やかな時代での話。

次のニューエコノミーは、小ささに有利に作用する。

デトロイトを救うのはテスラなどの新興会社の技術であったり、グーグルのビジネスがこれまでのような堅い握手ではなく冷徹な数学に支配されていたり、クラウドコンピューティングがITへの大規模な投資を必要とさせなくなっていたり、零細企業が世界販売戦略を立案できたり、アーティストがPCのみで楽曲を制作できたり。

無意識の起業家精神が、無数の会社を設立させ、契約社会を加速させ、フリーランスという職業を増加させる。「変化」を求めるそうした小さな企業が新ニューエコノミーのエンジンとなる。

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