ネッソンの違法ダウンローダー弁護と新法解釈キャンペーン
以前軽く触れたが、アメリカのフェアユース規定の法解釈を巡って、ハーバード大学ロースクールの教授が世界中の違法ダウンローダーが賞賛しそうなキャンペーンを大々的に行っている。
チャールズ・ネッソンといって、P2PシステムのKazaaを使って著作権保護された音楽レーベルの曲をファイルシェアしたとして全米レコード協会から提訴されてるボストン大学の大学院生、ジョエル・テネンバムの弁護に、彼の生徒とともにあたっている。
そのネッソンがArs Technicaに記事を寄稿して、彼の主張をぶちまけている。
曰く「25歳のテネンバムはたかだか7曲をアップロードしただけで9時間も拘束聴取され、彼の家族も取調べを受け、PCも全米レコード協会の“専門家”に提出させられ、おまけに105万ドルの損害賠償を求められている。
これは全米レコード協会による法律の乱用で、比較するならばスピード違反で捕まったドライバーが違反を認識していたならば、オーバーしたスピードの単位ごとに15万ドルの罰金を課されているようなもの。付け加えるなら、罰則は一般に認知されていない法律で、捕まえるのが警察ではなく私的取締り機関で、政治的責任を問われないから誰を標的にしようとも問題視されない。3,000〜7,000ドル払えば起訴を免れると持ちかけられ、払えば全額懐に収めてしまう。
テネンバムはネットに育てられた世代の代表で、彼のP2P利用はネットの延長線上にあり社会通念上習慣化している。このことを理解しなければ教育や法律という規制のフレームワークを更に社会全体の利益を生むように改革していくことはできない。
テネンバムのような全米レコード協会に提訴された35000人の個人は、訴訟を賄う費用を捻出することは簡単ではない。そこがアメリカ司法の根本的な欠陥で、原告と被告を経済的なバックグラウンドを無視して同等だと見なす。当然弁護士費用を作れない個人は原告である協会の和解案に交渉なく同意するしかない。
法律を変えたいなら何故個別の訴訟に汲みして議会に行かない?と多くは批判するが、協会もその道を選ばず、個別の個人を対象にした訴訟で金銭的な損失を埋めようとしている。弁護士や法学部教授のような専門家は私のフェアユースの法解釈に対して批判的だが、テネンバムが協会の和解案を蹴ったように、私も法曹界に疑問を呈し、挑戦する。」
弁護士で元ジャーナリストのベン・シェフナーはブログで大いに反論している。
「まず、テネンバムがアップロードしたのは7曲ではなく、800曲以上で、数百万人の他のユーザーが無料でシェアできる状態を作り出したこと。そして、協会は個別の曲に対してリミット一杯の15万ドルを請求しておらず、法定賠償金額の最低額以下の金額で和解しようとしていること。テネンバムに対しても4500ドルを提示して蹴られ、4000ドルを再提示した。また、9時間の拘束聴取は、どこの法律事務所でも日常的に行われている光景で、テネンバムなどは質問をはぐらかして聴取をむしろ楽しんでいたふしがある。彼のPCが提出させられた件でも、本件に関係ないファイルにアクセスしないようにプライバシー保護のルールを遵守したかたちで行われた。テネンバムの弁護に立つネッソンの役割は、訴訟を被告のダメージの最小化で素早く終わらせることで、被告を世界的に有名な殉教者に仕立て上げることではない。」

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