オンライン社会主義
ビル・ゲイツはかつてオープンソース推進者を資本主義の根幹を揺るがしかねない現代の共産主義者だと評した。オープンソースは共産主義というよりは自由主義であって、ゲイツの見解は間違ってはいたが、それでも現在のウェブの進化は新しい社会主義をもたらしていると言える。
Wikipediaが一番良い集産主義の例で、Creative Commonsの著作権制度の人気やP2Pの人気が集産主義に拍車をかけている。
ウェブ業界を席巻するカリフォルニアでは、すでにオンライン社会主義と呼ぶべき現象がいくつも存在する。Web3.0の幕開けとして現在も爆発的成長を続けるFacebookやTwitterは、グーグルが君臨している現在の検索世界に新たな風穴を開けようとしている。「今」を追求するリアルタイムウェブがウェブをどこに連れて行くのか。
ウェブ業界も比較的保守的な日本では、そうした世界の趨勢とはちょっと違った方向性を持っているが、それでも世界の動きを完全無視して我が道を行くことはできないだろう。日本発の次の仕掛けが何も出てこないからだ。であるならば、世界に渋々追随するしかない。
Linuxのようなオープンソースソフトウェアなど、無数のユーザーが共通の目的を共有し、労働を無給で提供し、完成品を誰もが無料でシェアする。これは立派に社会主義と呼んでもいい。
オンライン社会主義が醸成される土壌として以下の項目があげられる。
1、共有する意志
個人的な家族写真でもビデオでも日記でも知識でも何でも共有する意志は凄まじいものがある。こうした共有サイトはどんどん出来上がり、天文学的な成長率でアップロードされている。
2、協力
無秩序にアップロードされたデータを整理する機能を持つサイトもどんどん登場している。ブックマークサイト、ランキングサイト、キーワード、カテゴリー。Creative Commonsの著作権制度も無秩序な共有を制度化して円滑にしようとするものだ。あなたの写真は私の写真。エッフェルタワーの写真がひとつのアングルであるならば、他の人が撮ったあらゆるアングルのエッフェルタワーの写真を集合させて360度見えるサイトができたりする。
3、共同製作
オープソースがいい例だが、こうした共同製作に関わる人のスキルが非常に高く、対価なくスキルを提供するオープンソースは資本主義では不条理でさえある。
4、集産主義
共同製作との違いは、誰が責任を取るのかということ。自主的に誰かが責任を取り、重要な制作決定には全員が参加するというのが集産主義の理想だが、WikipediaやLinux、OpenOfficeはそうではない。Wikipediaへの投稿は数百万人がするが、編集は1500人程度の人間が行っている。これは別段悪いことではない。階層性で上手くいくものもあれば、そうでないものもある。
一方でウェブの進化は行き過ぎた個人主義、自由主義への信仰を生むとされるが、他方でこうした共同制作、集産体制で生産する。「無料」を享受するかわりに、「無償」を提供する。そういうことだろうか。

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