2009/05/19

ダウンロードの10年間 その4:カナダの事情

カナダ紙、theglobeandmail.comの特集記事「ダウンロードの10年間」の第4弾は、米国通商代表部が先日発表した301レポートから始まる。カナダは先進国で唯一、最重要監視国のリスト入りし、米国からの知的財産権保護強化の圧力に更にさらされることになった。

カナダの国会議員にとって著作権法の改正案はとても敏感な問題で、過去10年以上も各政権は改正案を可決しようとしたが、すべてが失敗している。1996年にカナダはWorld Intelletual Property Organizationのインターネット協定に批准しているが、自国の法律で承認していない。

カナダのコンテンツ産業の規模は、2008年で約7.4兆円、GDPの約7%となっている。32%のソフトウェアは違法にコピーされ、被害額は1200億円になるとの調査がある。

Pirate Bayの運営者を有罪に追い込んだ後、全米レコード協会と全米映画協会の次のターゲットとなるべき人物はバンクーバー郊外にいる。Gary Fungのサイト、isoHuntとTorrentBoxもPirate Bayと同様にP2Pファイルのリンクをインデックスして検索できるサービスを提供している。月間ユニークユーザー数は4000万だ。すでに全米映画協会とカナダレコード協会と、ふたつの訴訟を抱えている。

Fung氏によれば、リンクを掲載することに何の非もない。ウェブ上にはコピーされたコンテンツが溢れかえっており、それら違法コンテンツのリンクを掲載することの責任を問われるならば、児童ポルノや特許侵害などの違反をインデックスする大手検索エンジンも責任を問われるべきだと言う。(そうした主張は有罪判決を受けたPirate Bayの運営者も裁判で行ったが、結果は有罪だった。)

著作権法改正への圧力は今後どんどん増していく。フランスがスリーストライク法を可決させた。ネットアクセス遮断までの制裁を法律にすることはカナダでは現状難しい。それでもISPに対して登録ユーザーの著作権侵害への責任を何らかの形で強化させたいはずだ。

アメリカの著作権侵害モニタリング会社、BayTSPによれば、著作権侵害が深刻な先進国はカナダではなく、イタリア、スペイン、そしてフランスだとしている。問題はカナダがアメリカの隣国で、メジャーな貿易相手国だという事実だ。この重要な貿易パートナーに対して、アメリカはより著作権の保護を求めている。

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