2009/06/11

オンラインジャーナリズムの試み

ウェブ上のニュースは無料だという認識はもう揺るぎなきものになりつつある。ウェブ上の、どころかニュース自体が無料であるという認識があっても不思議はない。デジタル化はコンテンツの無料化を否応なく推し進める。日本の新聞社をはじめテレビ局などのメディア業界がデジタル化に積極的でなく、未だニュースが紙面で届けられる形態が主流であることは、ある意味功を奏していると言える。それも四半世紀もすれば生き残れないことは誰の目にも明らかなはず。

Washington PostのメディアコラムニストのHoward Kurtzが、新聞社はアメリカの自動車産業のようで、新技術に対して積極的にビジネスを開拓してこなかったことが今日の苦境を作り出していて、新聞社はバカでデブで怠惰だと辛辣に批判している。過去100年以上もニュースを独占して販売してきた新聞社のそうした保守的なところは、致し方ないとも言える。

そうしたプロのニュース作成集団のノウハウが、ハゲタカのようなブログやポータルサイトによって消滅してしまうという危機感は世界的に心配されていて、寄生虫が寄生する大元を食い潰せばプロ制作の価値に気付くだろうとも言われている。

それでも新聞社はただ食い潰されるのを待っているのではなく、新しい生業の形態を模索している。マードックは携帯配信にニュースの課金制度を定着させると発言している。

ノースウェスタン大学のジャーナリズム学部では、ジャーナリズムとコンピューターサイエンスを融合させた学位を用意して、すでに卒業者をChicago Tribuneに送り出している。ウェブの技術にジャーナリズムが先手を打てるように、教育現場のレベルから試行錯誤するというもので、DiggProPublicaEveryBlockPolitiFactなどのサイトはその試みで成功している。

True/Slantでは、名前だけでなく写真も出すことが主流になりつつあるオンラインジャーナリスト(記事の執筆者)のブランドを作ることができる。ニュースが主体なのではなく、ジャーナリスト個人が持つ知識や信頼性、専門性でニュースを読ませるという試みだ。新聞社はスタッフのリストラを進めており、フリーランス化したジャーナリストは増加している。そうしたジャーナリストにビジネス意識を持ってニュースを書かせるものだが、ジャーナリストの倫理が崩れやすい仕組みでもある。

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