ケーブルテレビ メディアの最後の砦
エンターテイメント業界が仕掛けた無料動画配信のHuluの成功は、無料文化はびこるネットから身を守るための施策となるかどうか、まだ全く見えていない。
無料の映像コンテンツがオンラインで視聴可能になることで困るのはケーブルテレビだ。ケーブルテレビは複数のチャンネルをパッケージで契約者に提供しており、契約者がチャンネルを選択して月額料金を柔軟に変えることができない。よって無料のコンテンツがウェブで見ることができるなら、契約解除するひとも増加する。
一部の調査では、オンラインでビデオを視聴するケーブル契約者の35%が5年以内に契約を解除するとしている。
ケーブル契約者が支払う月額料金はエンターテイメント業界にとって最も大きな収益源で、ケーブルテレビ会社がオンラインの無料文化に浸食されるならば、コンテンツを供給するエンターテイメント業界も一緒に浸食されることになる。
News Corps、NBC、Walt Disneyが資本参加するHuluに対抗するかたちで、Time WarnerとComcastが合意し、「TV Everywhere」構想を立ち上げた。ケーブル契約者にのみ、オンラインで無料でケーブルテレビのコンテンツを視聴できるようにするというものだ。
ケーブルテレビ会社がコンテンツ業界に支払う額は莫大だ。ComcastはESPN局を放送するのにDisneyに年間10億ドル、全ケーブル会社と衛星放送を合わせると220億ドル(約2兆2000億円)をコンテンツ制作側に支払っている。
Time Warnerは人気ケーブル局のHBO、TNT、CNN、WarnerBros、更に制作会社を保有している。現在のビジネスモデルを守ろうという気持ちが強い。
コンテンツがオンラインへと流れる一方で、逆の自体も起きている。カナダのAux TVというオンラインチャンネルがケーブル局になるというものだ。アメリカでもTMZという有名人ゴシップサイトが大成功してケーブル局になっている。
オンラインでは誰でも始められるし、誰も止めることはできない。よってテストとして始めるプラットフォームとして、オンラインは適している。
新聞や音楽がすでに無料文化に飲み込まれたように、映像コンテンツもウェブに飲み込まれるのか。ケーブルテレビが最後の砦として試行錯誤している。
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