2009/05/12

コンテンツの教育現場での利用は著作権侵害か?

米国著作権局が3年に一度開いているDMCA法免除の特例を審査する4日間に及ぶ審査が終了した。DMCA法はDVDコピー防止技術の回避を禁止しているが、この禁止の免除を個別の案件にて審査し、許可されれば免除される。

大学の映画学部や映像専門学校などでは、編集などの練習で著作権で保護されている映画などの映像コンテンツを授業で使用する。インストラクターはDVDから映像を切り出し、学生に講義するために利用する。3年前の審査では大学の図書館は、DVDコピー防止機能を回避することを許可された。

今回また同じように審査に出されたが、今回はこの特例をすべての大学教授に広げようとした。映像コンテンツの権利者側も、教育目的でコンテンツが利用されることは反対していない。権利者側が敏感になっているのは、DVDコピー防止の技術が、いとも簡単に回避されることのようだ。よって映像はDVDから切り出すのではなく、ビデオカメラで映画館などで撮影したものを使用してくれとの要望があった。

DVDコピー防止の技術は既に破られまくっており、それ自体にあまり意味がなくなっている。映像コンテンツ業界としては、本当に無意味になってしまう前にRealDVDのようなソフトを見つけては法的に対処しようとしている。

もうひとつの解決策としてコンテンツ業界が提案しているが、スクリーンキャプチャーできるソフトで映像を記録し、授業で使用するその都度、書面による権利者の許可を取るというやり方だ。高品質のビデオカメラを買うか、いちいち権利者の許可を書面で取るか、教育現場にさえ著作権侵害の訴訟をちらつかせて脅してくる業界はどうなのだろうか。

「あたかも大学教授が、小学生すら使いこなしているようなコピー防止回避を使用するこに対して信頼できない潜在的著作権侵害者のように扱われることは侮蔑以外の何でもない。」大学側の弁護士は言う。


アルゼンチンでは、哲学教授がフランスの哲学者ジャック・デリダの著作をスペイン語翻訳してウェブ上にアップしたことで、著作権侵害に問われている。この教授はデリダの著作のみならず、ニーチェやハイデガーの著作も過去同様に翻訳してアップしていた。

問題は、アルゼンチンの出版業界の事情で哲学書はアルゼンチン国内にほとんど扱われておらず、あっても高額な場合が多い。お金に余裕のない学生には高価な代物となっている。よって哲学書だけでなく大学では教科書などのコピーが蔓延しており、当然こちらも著作権の侵害に当たる。教科書の価格が高すぎることはアルゼンチンに限った問題ではなく、そうした問題のある国の大学でコピーは普通になっているとさえ言えよう。

知的財産の強い先進国の政府はコンテンツ業界からの圧力に抗しきれず、こうした教育現場での著作権侵害の弾圧も進行中だ。アルゼンチンの哲学教授は指摘を受けた哲学書翻訳をウェブ上からすでに削除している。

Fundacion Via Libre、アルゼンチンの非政府組織は、このケースは現行の著作権法がいかに時代に見合わなくなったかを示す好例だ、としている。

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