「ウイルス」の脅威
A(H1N1)型インフルエンザの新種、通称「豚インフルエンザ」が猛威を振るっている。そして、ついに、アメリカで一人の幼児が犠牲となったとのこと。SARS、トリインフルエンザ、そして今回の豚インフルエンザと、ほとんど毎年のように感染症によるエンデミック(局地流行)が生じており、更にはパンデミック(世界的な大規模流行)の脅威を与えている。
A型のインフルエンザは、他のB型、C型と違い、色々な宿主があるらしく、ヒトと動物の共通感染症と言われている。トリや今回の豚の様に、他の動物で蔓延した挙句、動物が供給源となってヒトに感染し、ヒト同士に爆発的に拡がっていくのだという。また、やっかいなことに、A型は、常に、小変異を繰り返しており、それによりヒトの免疫がうまく機能しない場合があり、更にタチが悪いことに、細かなバージョンアップの挙句、数十年後に、突然、大変異を起こし、その新種に免疫のないヒトに猛威を振るい、パンデミックへと発展するらしい。
人がグローバルに動き、国際間での交流が頻繁になった現在、その拡大したコミュニケーション経路によって病気が蔓延していく。パンデミックの危険性は、90年前に世界人口を激減させたスペイン風邪の再来をも予期させるほどであり、また、パンデミックの可能性自体は往時よりも格段に高まっているといえる。
コミュニケーション手段の進化は、ネット空間にも「ウイルス」を持ち込んだ。こちらの「ウイルス」は、元祖ウイルスに比べるとヒトとの関係は歴史が浅いのだが、やはり、この短期間のうちに、種々の変異を遂げ、今では、数万種もの「ウイルス」が存在し、日々新たな「ウイルス」が「発生」している。悪ふざけのウイルスから始まり、ワーム、トロイ、そして既存ウイルスの機能統合型とも言えるボットへと進化していき、その脅威を増してきている。
特に、最近では、ボットによる被害が著しく、日本では、総務省と経産省が(めずらしく)横断的に協力してボット対策プロジェクトを立ち上げている。これまでの「ウイルス」の場合であれば、感染した場合は何らかの被害が現れ、「宿主」に自己を顕示する性質であったため、すぐに対処(泣く泣くOSを再インストールするなど)できたわけだが、ボットは、「宿主」に感染の事実がわからない様に潜伏するスパイウェアの性質を持っているので、知らぬ間に感染し、感染者が自覚の無いままに「ウイルス」の供給源となって被害を拡大することになっている。
加えて厄介なのは、他の「宿主」のボットとネットワークを形成し、その「ボットネットワーク」により大規模に個人情報を流出したり、DDos攻撃(トラフィックを増大させてサーバーをダウンさせる攻撃を、複数のホストにより行うボットネットの特性ならではのもの)を仕掛けたり、その悪弊は広範囲、多岐に亘る。感染者の無自覚、潜伏性などの点では、AIDSウイルスのような性質であり、感染の容易さの点では、AIDS以上に恐ろしい。
有名な例では、ボットネットによるDDos攻撃により、短時間ではあったがマイクロソフト社のサイトが停止させられた事件がある。つい最近もマイクロソフト社からの通知と思わせる手段で感染させるボット(しかもボット防止を銘打った通知という皮肉)が出回っているらしい。また、Adobe Readerに脆弱性が見つかり、それを原因としたボット感染の危険性についてアナウンスしているのでリンク先をご確認いただきたい。
豚インフルとの関係では、ある意味おなじみの手だが、豚インフルを警告するメールが届き、本文に貼ってあるリンクをクリックすると、フィッシング詐欺のサイトにリンクしていたり、「ウイルス」に感染してしまったりするケースが現れているらしい。こちらもご注意のほど。
さすがに、豚-ヒト間で感染が拡がったと言われている豚インフルの様に、ネット空間から現実世界へと飛び出して、PC-ヒト間で「ウイルス」が伝染するということはないわけだが、携帯電話からヒトに「ウイルス」が感染したという噂に翻弄されたという笑い話が現実化した例もあり、あるいは、i-podが「ウイルス」に感染していたケースも出ている。
ここでも、少なくともヒトの認識において、ネット空間と現実の身体との距離が縮まっているのかもしれない。

0 件のコメント:
コメントを投稿
登録 コメントの投稿 [Atom]
<< ホーム