2009/05/01

ABCとHuluのコンテンツ供給の意味するところ

Walt Disney傘下のABCが、無料動画配信サイトのHuluに自社のコンテンツを供給することになった。ABCは、「ロスト」「グレイズ アナトミー」「アグリーベティー」などの人気コンテンツを抱えている。

Huluは広告によって支えられている、無料動画を配信するサイトで、アマチュア作成の動画はなく、テレビ番組などの2次放送がほとんどだ。残念ながら日本からは見れない(あるソフトをインストールすれば見れるらしいが)。メディア王のマードックのニュースコーポレーションとNBCユニバーサルが合弁で昨年立ち上げた。視聴数も急上昇しており、3月にはユニークビューアーで4,180万に達している。

今回のABCのHuluの資本参加は、一体どのような意味を持っているのか。それは、Huluがディズニー、NBC、フォックスとメジャーな映画スタジオ6社のうち半分のコンテンツを押えた点だ。残りの3社、ソニーはHuluとYouTube両方にコンテンツを提供するし、ワーナーブラザースはウェブ配信自体に乗り出していない。最後のパラマウントは、Huluに一部のテレビ番組を提供している。

よって今回のニュースはYouTubeにとってあまりいい話ではないらしい。YouTubeは事業の黒字化を実現するために今後、プレミアム動画や月額で課金するシステムも導入すると見られているが、プロ制作のコンテンツが集まりにくいことがあげられている。

YouTubeの特性はそもそも誰でも簡単に動画を投稿できることで、テレビ番組や映画の2次放送の場ではない。そうであればYouTubeが2次放送専門のHuluにコンテンツを独占されるとしてもこれは当然の帰結だろう。

問題は、ウェブ配信の広告モデルが今のところ成功しているHuluのやり方を、他の動画サイトが追随していくことだ。収益にこだわって不採算部門を切り落とすなら、個人にとって企業と同等の情報発信ツールとしてのサイトが減少するのではないか。

Huluとしても、ネットで広告収入を満足に得るためには大量の広告を付ける必要があるそうで、テレビドラマなどの連続ものの全話放送を控えているようだ。それはDVD販売にも影響が出るとの懸念からでもあるようだ。

いずれにしてもHuluは、コンテンツを保有する権利者側が収益を出せるネット配信モデルとして立ち上げたわけで、そこには著作権侵害の恐れもないし、そういった意味でYouTubeとの性格を異にする。

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