無料コンテンツはクリエーターを殺すのか。
世の中大不況で、皆余分なものにお金を使いたくはない。エンターテイメントコンテンツは生活に最低限必要なものではないから、節約するなら真っ先に切られる。お金がないから映画館に行くのを止めてレンタルにしよう。レンタルもお金がかかるからネットでただで見よう。というわけで、PCに向かって過ごす時間が多くなる。
ネット情報の良いところは、すべて無料という点だ。これが有料になればネットのなかった時代の閉ざされた世界に逆戻りすることになるだろう。ニューヨークタイムスが以前一部の記事を有料にしたが、失敗している。アクセスが落ちることは当然予見しただろうが、その予想を超えたからだろう。それでも有料にこだわることもできたはずだ。一部のニュース配信企業は頑なに有料にこだわっているが、それでもビジネスは成り立っている。質のいい情報を作るには時間もコストもかかる。新聞記事もコンテンツとして見るなら映画も同様だ。
無料にコンテンツを享受すること自体、文明の発展、文化の進展という側面から見れば決して悪い事とは思えない。無料で享受したコンテンツを営利目的で利用することはフェアではないが。
逆にP2Pなどの方法で無料にコンテンツをダウンロードすることを合法とするならば、コンテンツ制作者が制作の対価としてそれなりの報酬を得られるようなシステム作りが欠かせない。そのシステムを構築するために動画投稿サイトやSNSは苦労している。広告を使った無料配信のビジネスモデルで黒字化した企業はまだない。YouTubeも、コンテンツの有料化を検討している。
世界のコンテンツ制作の大手企業は政府やISPへの働きかけを強化し、違法ダウンロード取り締まりに力を入れているが、P2Pやファイルシェアリングが消滅する気配はまるでない。その技術を殺すのではなく、新しい仕組みで制作者が金銭的にもきちんと評価されるシステム作りはどうしても必要だと思う。違法ダウンロードを撲滅するのではなく、そのシステム作りに業界が協力して試行錯誤すべきだ。
新しい技術で有料だったコンテンツが無料で享受できるようになった。それが悪だとして壊すだけなら、進歩も発展もない。無料コンテンツでもクリエーターを生かすことができるよう考えていくことが正しい姿勢なのではないか。
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