2009/04/16

二次利用としてのネット空間

エンターテインメントの供給地として長らくわが世の春を謳歌してきたメディア、すなわち、TV放送は、あぶ氏が指摘するように、その求心力を次第に失いつつあるように見える。そして、その代わりに台頭してきたのが、言わずもがな、新興巨大メディア、インターネットである。

TV放送において、エンターテインメントの供給を資金面で支えてきたのは、(民放では)企業による広告費であるが、その企業の広告費に占める利用媒体の推移を見ても、インターネット広告費の伸び率は顕著であり、それに対して、TV広告費を含め、既存の広告媒体における広告費は減少傾向にある。調査により数字にばらつきはあるが、例えば電通の調べでは、既存メディアの一角、新聞広告費について言えば、ネット広告費があと一歩で手に届くところまで迫ってきており、早晩、追い抜かれることは必至である。

これら調査から、単純にざっくりと試算してみると、TV広告費が毎年前年比5%の減少率を、インターネットが10%の増加率を見込んだとすると、広告費の範囲により異なってくるが、早くて6年後、遅くともおよそ8年後に逆転する見込みである。

もちろん、このネットの大躍進は、いまだインターネットというメディアが新奇性を保っているということ、主に、現在急速に伸長しているインターネット利用者数の増加率と連動していることが主因であるとも考えられ、今後は次第に鈍化していく可能性もあり、試算通りに進むかどうかはわからない。しかし、おおよそ、逆転現象が起こるのが早くなるとは思えても、遅くなるという気がしないというのが大方の本意ではないだろうか。

 ただ、このネットによるプレゼンスの高まりは、ことにエンターテインメントの一次的な供給源として考えたときに、果たして、その機能を十全に果たしているかどうかというと、疑問符を投げかけざるを得ない。

 ネット空間におけるエンターテインメントの供給力は、現在、動画配信サイトによって発揮されているものと思われるが、なかでもyoutubeやveoh、ニコニコ動画といった動画投稿サイトがその中心に原動していると考えられる。

 これら動画投稿サイトから、日夜膨大なコンテンツが配信されているが、多く目につくのは、既存のメディアにおいて発表・公開された映像・音楽のエンターテインメント作品を、二次的にアップロードした動画群であろう。もちろん、中には、オリジナリティの高い「一次」作品や、先日紹介したクティマン(Kutiman)のように、創作性の優れた「二次」作品も見受けられ、コンテンツの人気バロメータである再生数やコメントを見ると、他のメディアに既出の単なる二次利用動画に比べて、高い評価を受けている。

 今後は、そのような一次コンテンツが増えていくであろうし、そうであって欲しいが、現状はといえば、権利者に無断でアップされた(と思われる)二次コンテンツが、大多数を占めているのは明らかである。youtubeやニコニコ動画におけるように、例えば音楽著作権管理団体であるJASRACにより一括で(投稿者自身による演奏についての作品)利用許諾を受けている動画投稿サイトの場合、投稿者による演奏動画については権利侵害を免れているとは言え、「既存のメディアに既出の作品を二次利用して供給している」という事実には変わりはない。

止められない潮流と語られる様に、既存メディア、特にTVという巨人を廃して、その居座り続けた玉座を、インターネットが奪取できるのか。目に見えるかのごとく語られる未来は正しいのかどうか。これらネット空間におけるエンターテインメント供給源が、いかに一次発信源として機能できるかによって、その真価が問われるであろうし、そうであるべきではないかと思う。

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