ニューメディアはオールドメディアを征服したか
アメリカの新聞社が次々閉鎖している。ネットメディアが本格的に読者を得とくし始めてから、新聞はリストラを進めるなどして延命策を図ってきたが、ついに既存のビジネスモデルが崩壊を食い止められないところまで来た。
AP通信はポータルサイトなどのニュースリンクを集めるサイトに宣戦布告したし、マードックは自社のニュースサイトを課金制にする計画を発表した。
ブログメディアの発達はアメリカで著しいが、ブロガーはそれで生活しているわけではなく、要するに既存メディアと潰し合いをしていて、ジャーナリズムが死滅するとの心配もされている。アメリカ議会は新聞社の将来の役割について公聴会を開いている。
マイナーなブログも多いが、メジャーな新聞社に匹敵する読者と影響力を持つメディアに育ったブログも多い。そのひとつが「The Huffington Post」だ。The Huffington Postは2005年にアリアナ・ハフィントンが始めたリベラルブログで、今年2月には月間890万PVあったとされる。BBCやワシントンポストなどと肩を並べる。オバマ大統領が、選挙期間中に彼と関係のある教会の牧師の人種差別的発言が報道された際にも、一番に弁明の投稿した。そのアリアナ・アフィントンがインタビューに答えている。
曰く、「ネットメディアは新聞やテレビなどのオールドメディアを征服する過程にある。今後は市民ジャーナリズムがどんどん出てくるだろうし、ネットも新聞もテレビも記事などのコンテンツを自社の販売チャンネルのみで独占することはできない。そうしようとすれば必ず失敗するだろう。何故ならデジタル化された経済は、リンクされた経済だからだ。ブログサイトも新聞サイトもリンクすることで相互にトラフィックを集めており、このトラフィックを収益化につなげようとすることが肝心だ。つまり、コンテンツを守ろうとするのではなく、ユーザーが何を欲しているのか考えること。このような状況で生き残るのは、優れたコンテンツを提供できるメディアのみで、ジャーナリズムは生き残るどころか、良いものは繁栄する。」
優れたコンテンツ、優れた記事は生き残るだろうが、それが面白くなければ誰も見ない。地方の小さな街の議会や警察に番記者として張り付き、権力を監視するという重要なジャーナリズムの役目がなくなるのではないか。
「既存ジャーナリズムの制限は、番記者として取材の対象に深入りし過ぎてることで、一般の読者が必要としている情報、“真実”を報じることが出来ていない。」
一般のユーザーが何を欲しているのか、何を必要としているのか、そうした問いは新聞社の社員として記者クラブ入りするジャーナリストよりも、どうにかしてトラフィックを収益化しようと考えているブロガーの方が答えを探しやすい位置にいるのかも知れない。
それでも、ブログメディアは偏り過ぎているとの批判をかわすことは難しいだろう。現にハフィントンポストはリベラル派の代表格で、共和党支持者が読者である確立はずっと低いはずだ。ネットメディアでは、ユーザーは自分の興味のあるものしか見ない。そしてそれは、ネット世代の若い有権者がオバマを当選させたように、一般人(ユーザー)のちからが増大したということに間違いはない。
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