不完全なDMCA法
DMCA法、アメリカの法律で著作権侵害問題に対するISPやコンテンツホルダーの取るべき法的行為の指針を示したものだが、当事者であるアメリカISP最大手のAT&Tすらも誤解するような不完全な法律であるらしい。いや、誤解しているのではなく、DMCAで規定すべきISPの責任が曖昧なままだからISPはサーバーの利用者とコンテンツホルダーの両方を味方につけるような曖昧な侵害対策に始終している。
それはそうだろう。侵害者はたいがいがサーバー利用者で、ISPから見れば大切なお客様だ。一方の著作権を侵害され、ISPに対策を求めるコンテンツホルダーも無視できない。相手が大きければ訴訟問題にも発展する。
DMCAでは、ISPは侵害データを削除する義務を負わされている。だが、この義務が発生するには著作権帰属の証明や、侵害データの特定などなど、コンテンツホルダーが提示しなければならない規定が数多くある。色々な理由をつけてデータを削除しないISPは少なくない。訴訟することもできるが、コンテンツホルダーの多くは個人で訴訟費用を捻出できない。よって泣き寝入りする場合もこれまた少なからずある。
AT&Tはコンテンツホルダーのために侵害者に対して警告書を送付したらしいが、そのような義務はISPにはない。逆にYouTubeやVeohなどの動画共有サイトは、侵害者に対して警告しなければならないようだ。
DMCA自体クリントン政権時代の産物で、ここ10年のウェブ業界の進化に対応しきれていない。これに対してコンテンツホルダー側もISP側も、改正を望んでないらしい。両方とも自分たちにとって不利な方向に改正されることを恐れているからとのこと。
アメリカにスリーストライク法が輸入されるのは当分先のことになるのだろう。

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