音楽業界の売上げ低下の何故
音楽CDの売上げが収縮し始めてから久しい。P2Pなどで無料にダウンロードできるようになったことが主原因なのか、その答えはまだはっきりとしていない。コンテンツ業界は違法ダウンロードの取り締まりを強化してこれ以上の収益低下を阻止しょうとしている。画質の問題などがある映像と違って音楽はほぼ完全な状態で無料にダウンロードできることから、音楽業界の取り組みは注目されている。
MTVジャパンが無料で音楽ビデオを配信する試みをはじめた。動画投稿サイトでも視聴数の多いのは音楽ビデオだ。8000曲配信するらしいが、期待しているのは広告収入だ。ネット広告収入のみで黒字化しているサイトはアフィリエイトに特化したサイトを除けばまだない。
そもそも、皆がCDを買わなくなったのは違法ダウンロードのみが原因とは考えにくい。ネットには無料で楽しめるコンテンツが溢れていて、そのすべての有料化に成功したとして業界の売上げは回復するだろうか。
むしろ、コンテンツの種類や形態、はたまた流通のチャンネルが多様化したことが原因と考える方がいいと思う。ハリウッドやテレビ局や制作会社、これまでコンテンツを独占して制作してきたコンテンツホルダーが躍起になって違法コピーを制限し、違反者を制裁しようとしても業界の収益低下の流れは止まることはない。プロとアマの境目がなくなっていることがこの現象をもたらしている。消費が変動しないなら、プロが得る収益のパイはどんどん小さくなっていく。
確かにハリウッドなどは多くの雇用を生み出しているし、近年撮影スタジオをコストのかかるロサンゼルスから中国などに移動したことで職を失った美術スタッフなどの映画製作の裏方が路頭に迷うなどした。テクノロジーの進化で衰退していった産業は今回が初めてではない。現在のコンテンツ産業の収益低下をもたらしたものがIT技術の進化ならば、法律によって進化を制限してまで雇用を守ることは文明にとっても良くない。
プロとアマの境目がなくなっているならば、それを歓迎してそこから多くの人々の雇用を作り出し、新しい生活を作っていくことが経済の王道なのではないか。とは言え、それが簡単ではないことはよくわかる。
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