アニバーサリー
日本における著作権に関わる法制度について、その最初の成文法と言えるものは、1869年(明治2年)に行政官達として出された出版条例と言われる。著作権として真正面から規定したものではなく、出版権の保護という形で規定されていた。次いで、1889年(明治32年)には、旧著作権法が制定され、日本における著作権制度の本格的なスタートはこの年からということになる。つまり、今年は、日本における近代著作権法制度が始まってから140年、または、120年のキリ年ということ。
それでは、現行の著作権法が制定されたのはいつかというと、1970年(昭和45年)。一方で、世界的に見て、著作権法として成文法が登場したのは、いわゆるイギリスのアン法(Statue of Anne。本当は、もっと長い名称がついている)で、現在の暦で計算すると1710年に制定されている。ということは、つまり、来年は、40周年と、そして、300周年という記念すべき巡り年ということである。
だから何だと言われれば、それまでだが、この時間を長いととるか短いととるか。人類文明の「著作」の歴史、言ってみれば長大な「文化」の歴史に比してみれば、存外最近にできた制度というようにも思える。
もちろん、誤解のないように言えば、明文化される前から、著作権の法制度そのものはイギリスにも見られたはずで、そのあたりは、「成文」にこだわらないコモン・ローの国であることを考慮におくとして。西洋において、著作権という権利意識が芽生えたそもそものきっかけは、周知の通り、グーテンベルクの活版印刷術の普及、つまり「複製技術」の飛躍的向上が原因だったと言われているので、それから考えれば、およそ500年ほどの歴史はあるだろう。まずは、出版業者の利益を守るために制度が固まっていったと言われる。
その500年後の今日、「IT革命」による「複製技術」の飛躍的向上、さらには、爆発的な普及は、企業、業者、そして個々の権利者の権利意識を覚醒するに及んでいる。あぶ氏が語るように、「ミレニアム」の改正でさえ、「古い」と感じてしまうほどに、時代における時間の流れも早くなっている。
著作権法制度そのもの、あるいは著作権という価値自体を、根本的に考え直さなければならない時代なのかもしれない。
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