携帯マルチメディア放送、事業者選び最終局面 ドコモ有利? 決着先送り濃厚
2012年春にも始まる携帯端末向け次世代マルチメディア放送の事業者選定が、最終局面で波乱含みの様相を呈している。NTTドコモ陣営とKDDI陣営が参入申請し、総務省は1陣営のみに免許を与える方針だ。今回は事前に事業者を絞り込んだ上で電波監理審議会(総務相の諮問機関)に諮問する通常のやり方でなく、事業者選定そのものを電監審に委ねる形をとる。ただ、選定は9月以降に持ち越される公算が大きく、両陣営や端末メーカーなどは気をもむ時期が続きそうだ。
総務省は、ドコモ、KDDI両陣営が掲げる放送方式について「技術的に優劣はない」としており、事業者選定ではどちらの事業計画がビジネスとして中長期的に成長が見込めるかが焦点だ。
これまでの下馬評では、在京民放キー局4社が出資し、国産技術である地上デジタル放送の規格を発展させた放送方式を提案するドコモ陣営が有利とされてきた。基地局整備にかかる総工事費をKDDI陣営の半分以下に抑え、利用料金を低廉化する戦略を打ち出しているのも追い風とみられていた。
しかし、当初は最速で7月中旬とみられていた選定のスケジュールは延期が続く。総務省主催で2度の公開説明会に加え、個別ヒアリングも非公開で実施したが、両陣営は自らの優位性を繰り返し主張し、対立が先鋭化。総務省の審査は難航し、原口一博総務相が目安としていた8月中旬も不可能となった。
肝心の事業者選定を電監審に一任するという過去にない形をとる理由について、総務省の担当者は「手続きをより透明化するのが目的」と語る。電監審の原島博会長(東大名誉教授)は「いたずらに時間をかけず、可能な限り早く結論を出す」としているが、審査のための作業量は膨大で、1陣営を事業者として選定して総務相に答申するのは9月以降になりそうだ。MM総研の横田英明アナリストは「タイムリミットを明確に定めて、そこから逆算して審査を進める必要がある」と話す。
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